~猫日記~家の整理してたら、何年か前の日記が出てきた。~猫日記~ 05/01/30 俺が横になって雑誌を見ていると、1週間ぶりくらいに我が家の猫(オスなのに空子・3才)が帰ってきた。 「よう!久しぶり!」 と声を掛けたが、奴は無視。 その後、何故か俺の読んでいた雑誌の上に箱座り。 「邪魔だよ!どけ!」 と言ったが、完全無視を決め込んでいる。 俺は雑誌を諦めテレビのスイッチを入れた。 05/01/31 昨日、1週間ぶりに帰ってきた空子(♂・3才)が、俺の部屋の柱で爪をバリバリ研いでいる。 「柱がボロボロになるだろ!やめとけ!」 と言うと、一瞬俺の方を見て爪研ぎをやめた。 そして、またすぐに爪研ぎを再開した。 さっきより激しい気がして色んな事が嫌になった… 俺は空子を無視してパソコンの電源を入れた。 05/02/02 空子(♂・3才)を庭で発見した。体を低くしてスズメを狙っていたので、 「おい!頑張れよ!」 と声を掛けると、スズメが逃げた。 猫は何か複雑な目で俺を見た。 05/02/03 親父が猫用の小さい電気カーペットを買ってきた。 部屋の隅に置いていたが、空子(♂・3才)は一度匂いを嗅いだだけで、そのままコタツに入ってしまった。 親父の目は心なしか悲しげだった。 05/02/04 今朝、目が覚めてリビングに行くと、うちのじいさんが電気カーペットに正座をしてテレビを見ていた。 05/02/05 空子があまりうるさいので猫缶を開けてやる。 皿まで持っていってやろうとした一歩目に、冷蔵庫の角に足の小指をぶつけた。 猫缶を床にぶちまけて、悶絶する俺。 気絶しそうな痛みに、転げまくる俺。 薄れ行く意識の中で空子を見ると、 床にぶちまけた猫缶を一心不乱にむさぼり食っていた。 05/02/10 仕事の帰り、近くの公園で汚い猫を二匹見掛ける。 汚いので無視。家に帰る。 「腹減ったなぁー」と言って冷蔵庫を開けると、真っ赤な魚肉ソーセージが5本ある。 それを持って公園に。 なぜか近所のおばさんが公園にいる。 その足元でモンプチゴールドを食うさっきの猫二匹。 何故か急いで魚肉ソーセージを隠す俺。 家に戻ると奴(♂・3才)がいた。 魚肉ソーセージをやった。 見向きもしなかった。 あれ?俺が間違っているのか?と考えてみたりする。 05/02/12 コンビニに行く途中、神社の松の木に猫がいた。 かなり高いところで遠くを見つめて「ニャー」と鳴いていた。 「やっぱり、豹みたいでかっこいいなぁー」と思った。 家に帰ると、お袋が「今日はカレーよ」と言った。 05/02/13 部屋に入ると、空子(♂・3才)が電気カーペットにべたーっと寝ていた。 全く動かない。死んでいるのか?と思って、 「そら子!」と声を掛けた。しっぽをパタパタ動かす。 「そら子!」しっぽをパタパタ。「空子!」パタパタ。 少し嬉しくなった。 試しに、 「ソ連」と言うと、しっぽをパタパタ動かした。 「パソコン」しっぽをパタパタ。「掃除機」→パタパタ。 その後、「ねぎ」→パタパタ。「ねこ」→パタパタ。「肉」→パタパタ…を、10回ほど繰り返すと、反応しなくなった。 いろいろ悲しくなった。 05/02/18 猫(空子♂・3才)が、俺の布団の中で粗相をした。 俺は散々怒鳴り付けてやった!「大バカ!」「間抜け!」「あほ子!」 酷く激昂して、「お前は貰われっ子だ!!」と言ってしまった…。しまった!と思った。 奴は家を出ていった。 もう帰って来ないような予感がした。 俺は激しく後悔した。 夕方帰って来た。 05/02/19 夜、トイレに起きたとき じいさんの部屋から呻き声が聞こえてきた。 嫌な予感がして、中を覗いてみた。 じいさんの布団の上に空子(♂・3才)が箱座りをしていた。 じいさんは苦悶の寝顔で、う~う~唸っていた。 俺はとりあえず、見なかったことにした。 05/02/20 今朝、じいさんが「俺はもう駄目だ。昨日、死ぬ夢を見た。」 と言って1万円をくれた。 05/02/21 空子(♂・3才)がネズミを捕まえてきた。 俺の前までくると、ボトッと鼠を足元に落とす。 落ちた瞬間、凄まじいスピードで走り出す鼠。 テレビ台の下に逃げ込む鼠。 呆然とする俺。 猛烈な勢いで追いかける猫。 テレビ台の下に鼻を突っ込む猫。 「シャーッ」と奇声をあげる猫。 手を突っ込んで、引っ掻きまわす猫。 あきらめる猫。 その場に座り込むと、毛繕いを始めた。 俺は、「よし!殴ろう!と決心した。」 05/02/22 電気のヒモでシャドウボクシングしている所をお袋に見られた。 お袋の目が痛かった。 悲しい気持ちで部屋に戻ると、空子(♂・3才)が自分のしっぽを追いかけてグルグル回っていた。 昨日よりも今日、少しだけ優しい気持ちになれるかもしれない。 「空子。今日は一緒に寝るか?」と声を掛けると、空子は「ニャーン」と鳴いた。 15分後、親父が「寒い寒い…」と叫びながら部屋に入ってきて、空子を強奪していった。 05/02/23 じいさんの部屋から、もの凄い音がして叫び声が聞こえてきた。 何事かとじいさんの部屋に向かう途中、廊下で空子(♂・3才)とすれ違った。 じいさんは「あの痩せ猫を、殺してやる!」と物騒なことを言っている。 手に持った、コケシの首がもげていた。 今日一日、空子は姿を見せなかった。 夜、何か心配になってじいさんの部屋の様子を見に行った。 やっぱり、奴はじいさんの布団の上で箱座りをしていた。 やっぱり、じいさんは苦悶の寝顔でう~う~言っていた。 奴は、殺られる前に、殺る気だ! 05/02/27 親父は、空子(♂・3才)が好きで好きで、たまに発作を起こす。 空子を捕まえると、両手で持ち上げ、顔をすりすり押し付ける。たまに口をペロペロ嘗めたりもする。 猛烈に抵抗する猫。 親父は多少引っ掻かれたぐらいではびくともしない。 顔がグシャグシャになった頃には、手も足も尻尾も力なくぶら下がっている状態。 親父は満足すると手を離す。 その場に崩れ落ち、ぐったりして動かない猫。 陵辱された猫を見て、何故かニヤニヤするじいさん。 満足そうな親父を見て何故かニヤニヤするお袋。 「なんか、嫌な家族だなぁ…」としみじみ思う。 05/02/28 じいさんが猫カーペットに正座してテレビを見ていたとき、後ろから歩いてきた空子(♂・3才)がリモコンを踏んだ。 テレビの画面が変わった。 じいさんが「ばっ婆さんかっ?!」と叫んだ。 05/03/01 夜中、腹が減って起きた。 台所を物色していると、どこからか空子(♂・3才)がやってきた。 「にゃーにゃー」うるさく鳴いて、何か喰わせろと言っているらしい。 とりあえず、冷飯にかつおぶしをかけてやったが見向きもしない。 猫缶の場所を知っているお袋は親戚の家に出掛けてるし… 途方にくれて、酔っ払っている親父を起こすと何故かぶちギレ。 「うるさいぞ息子!おい、空子が泣いている!お前のせいだ、何とかしろ!人でなしめ」 むちゃくちゃ言ってまた寝てしまった。 俺は水槽から親父の飼っている金魚(ランチュウ)を捕まえて空子にやった。 空子は少し匂っただけで行ってしまった。 「すまない。」と言ってランチュウ(金魚・♀)を水槽にもどした。 空子は俺があげたかつおぶしご飯のかつおぶしだけ、きれいに食べていた。 05/03/02 朝、目が覚めると顔の5cm横に空子(♂・3才)が座っていた。 なぜか俺の顔をジィーっと見ている。 俺は、ちょっと照れ臭くなって 「いつからそこにいたんだ?ほんとに空子は俺のことが好きだなー。」 の、「い…」を口にした瞬間 いきなり俺の左目にネコパンチを喰らせる猫。 …もう何がなんだか、意味が分からない。 05/03/25 3月5日ぐらいから、空子が家を出たきり帰って来ない。 1週間程度帰って来ないことは何度かあった。 が、こんなに長いのは初めてだ。 親父はプチ廃人になっている。 05/03/26 今日の朝、じいさんが猫を探しに行ってくるといって家を出て、夜遅くにパトカーで帰って来た。 それから、じいさんはカーペットに座らなくなった。 「わしが空子のカーペットを奪ったのが悪かったのか…。」 と、頻りに気にしている。 「それは関係ないんじゃないの?」 と言ったが、また猫を探してくると言って出掛けていった。 俺は少しだけじいさんが好きになった。 今日も、空子は帰って来ない。 つづく… ジャンル別一覧
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